1-2-7 子音「s」と「z」

zolomouce

 この二つの子音は、原則として日本語のサ行、ザ行の子音と同じ。ただし、イ段の音としては「i」「y」のどちらも使われ、どちらを使っても発音は同じだが、「si」と「sy」、「zi」と「zy」は、日本語の「シ」「ジ」とは微妙に違っていて、サの音を発音するときと同じように、舌先を下の前歯の裏につけたまま「シ」「ジ」と発音すると近い音になる。ちなみに、日本語の「シ」はチェコ語では「ši」、「ジ」は「ži」ではなく、「dži」と音写される。チェコ人の耳には、日本人が「ジ」と言うとき、「ži」の前に「d」が聞えるらしい。またこの二つの子音に、母音「ě」が付くことはない。

  母音を伴わない場合には、ウ段の音で「ス」、「ズ」と軽めに発音しておけばいいが、特に「s」の場合には、むしろ「u」のつく「su」を日本語より強めに発音するように意識して区別したほうがいい。チェコ語の「su」は、日本語の「ス」よりも母音が強いのである。それで、チェコ人の名字「Suk」が、「スーク」と長母音のように音写されることもあるわけだが、個人的にはそこまでするほどではなく、「Suk」の音写は「スク」で充分だと思う。ただチェコ語で話すときに、日本語より強めに発音することを意識すればいい。


 有声子音「z」の無声化は、頻繁に起り、語末なら虫歯を意味する「kaz(カス)」、語中なら「奇麗な」という意味の形容詞「hezký(へスキー)」、語頭なら「歌う」を意味する動詞「zpívat(スピーバット)」などが挙げられる。特に「zp + 母音」という組み合わせは多く、発音が同じになる「sp + 母音」との区別に注意が必要である。また前置詞「z」も後接する名詞と合わせて一語のように発音するので、「z Prahy(スプラヒ)」と無声化する。
 無声子音「s」の有声化は、数は少ないが、合唱団などの同じ目的を持った人たちの集団を意味する「sbor(ズボル)」、別れの挨拶の一つである「sbohem(ズボヘム)」などが直ぐに思いつく。前置詞の「s」も、有声音で始まる名詞の前では有声化して、「s Brnem(ズブルネム)」となる。


  • sa=サ si/sy=シ su=ス se=セ so=ソ
  • s=ス/ズ(有声子音の前で有声化)
  • za=ザ zi/zy=ジ zu=ズ ze=ゼ zo=ゾ
  • z=ズ/ス(語末と無声子音の前で無声化)
  • ○sy/zy
  • ×sě/zě


余談
 本来無声子音の「s」は、母音とともに使われた場合には、無声音、つまり清音で発音されるはずだが、濁音で発音されることがある。人名の「Josef」は、本来であれば「ヨセフ」と発音されるはずのところ、「ヨゼフ」と濁音で発音される。因みに、スロバキア語では発音と表記の乖離を嫌ったのか、「Jozef」と表記される。外にも、外来語で「-ismus」で終るものが、「-イズムス」と濁音で読まれ、アジアは「Asie」と書いて「アジエ」と読む。
 これ以外では、日本語の新幹線、盆栽が、どちらも表記では「s」を使いながら、「シンカンゼン」「ボンザイ」と発音されることがあるのだが、それもこれもドイツ語の影響ではないかと考えている。